「もうね、私の二の腕とかも最悪だからね。可哀相なくらいプルプルするし」
半袖で手を振るとか、絶対できない。なんてったって、二の腕のお肉が手の揺れと供に一緒に動くから。あの悲しさは何とも言い難い。
「……それは、さすがに」
「あ、うん、二の腕はだめだよ!」
「……でも超つまみたい」
「ダメ、ゼッタイ!」
新たなおもちゃにロックオンされた二の腕をかばう。
「さすがにそれ触ったら男としてまずいから触らないけどね」
とかいいつつ超狙ってる。
彼は何を思ったか、がっと私の左手首を掴み、ぶんぶんと振り始めた。
「え、ちょ、なに?」
「いや、二の腕プルプルしないかなーって」
「っ……!! さいってー! 貴方もう最低だぁー!」
私が二の腕を押さえながら怒ると、彼はけたけたと笑う。
さっき私が騙した誕生日のこと根に持ってわざとやってるな…。
人に悪戯をする姿は、まるで小学生みたいで、昨日や今日見せた、真剣に問題を解く姿とは余りにギャップがある。
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