普段はメール不精の癖に、こんな時ばかりちゃんとメールする。
数分後にピータンから返信。
「7月12日だって」
「うん、あってる」
にっこりと彼に返す。
意気揚々と、私の携帯に誕生日を打ち込む。
それから、一瞬固まって彼が言う。
「……おいこら、あかねーぞ」
思わず笑いが込み上げる。
「あはははは! たしかに『誕生日』とは言ったけど、誰も『私の誕生日』とはいってませーん!」
「貴様っ…くっそー……あんな言い方するからてっきりお前の誕生日だと思ったじゃねーか…」
けたけた笑う私を、心底悔しそうに彼が睨む。
いつもはやられっぱなしだから、たまにはこういうのもアリかも。
「でも、これで私の誕生日覚えたでしょ?」
私が笑うと、彼も頷く。
「うん、もう絶対忘れない」
来年は、是非祝ってくださいね。
「で、結局誰の誕生日なの?」
「内緒」
笑って、彼から私の携帯を奪う。
それをそのまま鞄に仕舞う。
「あ、てめー」
いち、いち、にー、ぜろ。
貴方には内緒。
誰の誕生日かなんて。
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