「なんか、いーよね。お姉さん。」
「え、なにが?」
二人で帰る途中、彼がそう呟いたので、思わず聞き返す。
「心配してくれて」
どうやら、さっきの電話のことを言っているらしい。
「あ、そっか、あなた一人っ子だもんねー」
彼の家族は、彼と彼の両親だけの典型的な核家族で、子供が私を含めて4人もいる私の家を再三羨ましいと言っていた。
「いや、でもね、4人は多いよ」
私が笑って言うと、彼は少し考えて、
「んー、じゃあ2人は?」
といった。
「そうだねー子供は2人か3人が妥当だと思うよ」
「あ、俺、双子欲しい双子!」
無邪気に言う彼。
そんなこと言われたら、貴方との子供を想像しちゃうじゃないですか。
「あ、いーねー。男女だともっといいねー」
彼は今までもよく、賑やかで楽しい家庭を作りたいと豪語していた。
「あ、料理できる?」
ふと、彼が私に聞く。
得意ではないけど、それなりには出来る。
「うーん、なんとなく作れる」
「よし」
私の答えに、彼は満足そうに頷く。
……なんですかそのよしって。
それから話は双子の発生の仕方の話題に移って、彼の『よし』を追及することは出来なかった。
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