「…ほれ、あと2時間で閉館だからがんばりなさい」


見兼ねた彼が、ぽん、と私の頭に手を置く。



そしてそのまま、私の頭をぐりぐりする。




これ以上、馬鹿になったらどうするんですか。



てか、『ほれ』っておじいちゃんみたい。


ふふ、とこっそりにやけながら、じんわりと伝わる彼の温もりを感じた。

いつ触れられても安心する、おっきな手。




なんだかこのままだと、彼の手が触れている頭まで、私の心臓のドキドキが伝わってしまいそうだったから、起き上がって、再びペンをとる。


「…べんきょーやるー」


「よろしい」



彼は私を見て微笑む。



その笑顔は、だめ、反則です。


ああもう、


彼が来る前より、重症な気がする。




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