「……できた。答えは?」
少しして、彼が言う。
「60゚」
別冊の解答を見ながら私が答える。
「はは、あってるー」
満足そうに、ぽい、っと私に解き終わった紙を渡す。
ていうか、3分もかかってないんだけど。
「ふぇー…すごーい…」
渡された紙に書いてある途中式を見ても、私には全く理解出来なかった。
ほんと、サラっと解いちゃってカッコイイです。
「……いや、でもこれくらいは解けて欲しいなぁー」
にまにましながら彼が言う。
「くっ…いいもん! 数学なんか二次で使わないもん!」
「そんなんじゃセンターすら乗り切れませんよ〜」
「うー…もー…ばかぁー! はげー!」
小ばかにしたような彼に反抗しながらも、今しがた見せられた彼との圧倒的な学力差に少しだけ落ち込んだ。
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