「お昼食べますけど」
黙々と勉強を進め、いつの間にかお昼を過ぎた頃、彼がそう言った。
私の胃は何かを食べさせろと不満の声を上げ始めていたので、彼の言葉に同調して外へ出た。
昨日私がご飯を食べた場所と同じ所へ座り、二人でご飯を食べはじめる。
昨日の同じ頃、今日と同じメロンパンをかじりながらちょっと泣いた私は、まさか次の日にこんなことになってるとは思いもかけなかっただろう。
彼のお昼は、バターロールにハムとレタスを挟んだものが2つだけで、その背の高い身体には、どうも不釣り合いに見えた。
「え、おにーさん、そんな女子高生みたいな量で足りるの?」
「あー別に大丈夫だねー」
私がそう尋ねると、彼は事もなげに答えた。
「だからそんなひょろひょろなのね」
にやりと笑って彼に言う。
すると、彼もにやりと笑って返す。
「誰かと違ってスリムボディーですからねー」
「くっ……! まんまるで悪かったなッ!」
私の皮肉も一枚上手で返される。
絶対、この人には口では敵わないと思う。
こんなどうでもいいやりとりでさえ、幸せに思えてしまう。
.

