付き合ってる。恋人同士。彼氏彼女。
「し・・・ちょっと待って、篠田先生っていくつだっけ」
「27」
「あ、あれ?そんなだっけ?もっといってるように見えるから・・・」
「まあ、あんなだからな」
じゃあちょうど一回り。27歳という生き物は、きっと今の私が感じているほど大人ではないんだろう。その根拠は、今の17歳の私が、14歳の頃考えていた17歳ほど大人になっていないから。第一27なんて、嵐のメンバーより若いんだよ。篠田先生はちょっと老けているけど。
「でも・・・篠田先生・・・かあ・・・」
「・・・。言いたいことはわかるよ」
「え?」
「吉岡とかだったら、わかるっていうんだろ」
吉岡先生。今年入って来た新任の先生で、一番の若手。運動が得意で明るくてちょっぴりイケメンで、女子生徒には隠れファンが多い。もし吉岡先生だったら、どこかのクラスの誰かとそういうことになりましたと言われても、衝撃は衝撃だけどどこか納得してしまう。
ところが篠田先生ときたら、地味で冴えない、人気もいまいち。科学オタクでマイペースで、いつも真っ黒なぼさぼさ頭をぽりぽりと掻いている。細身で色が白くて、渋いグリーンのセーターが異様に似合っている。密かについたあだ名は「かびもやし」だった。
「・・・その・・・それって、結構前から?」
「春ぐらいからだと思う。ちゃんとは知らないけど」
「そ、そっか」
広瀬くんはずっと知っていたのか。自分の好きな幼馴染が、自分の学校の教師のことを好きで、しかもその想いが成就したこと。しかも教師の中でも、自分のクラスの担任の・・・
