広瀬くんはB型。
「あの、もう1こいい?誕生日は?」
「はあ?」
「た、誕生日・・・」
「なんなんだよそれ、今日だったらなんかくれるわけ?」
「いえそういうわけでは・・・あっでも大したものじゃないのでよければ・・・」
「いやくれなくていいよ、なんでそんなこと知りたいのかって」
「う、うーん。なんでか・・・」
血液型と誕生日を聞くのってこんなに難しかったのか。「ねえねえ、血液型何型?」の一言で、たった2秒で終わるタスクだと思っていた。私が広瀬くんに興味あるのなんて気持ちの悪い言い回しをしなければ済んだのかな。
「ひ、広瀬くん!そんな怪訝な顔をしないで下さい!」
「最初から怪訝だよ、お前は」
「そんな殺生な!せ、せめて星座だけでも・・・」
「・・・。おうし座だけど。へんなやつ」
おうし座かあ。それじゃあ、4月後半から5月ってところかな。言われてみれば、広瀬くんの健康的そうなところとか、5月の風薫る頃に生まれましたって感じ、するかもなあ。こじつけだけど。
「あ、そういえば、広瀬くんって県内だよね?」
「そうだよ。なんで知ってんの?」
「自転車通学してるでしょ。自転車置き場でたまに見かける。私は電車なんだけど」
「ああ。家、わりとすぐだから」
遠くから目で追っているだけだった頃、謎の多い広瀬くんの情報と言えば、自転車がシルバーということくらいだった。キイキイと音のする古そうな自転車で帰っていく広瀬くんを、よく校門から見送った。
