あの子の好きな子




「・・・友達って、あの幼馴染の?」
「え?違うよ、クラスの、友達・・・とか・・・」
「そっか。・・・ごめん」

どうして謝ったのかわからなかったけど、私も何も言えなくて、暗い帰り道に沈黙が訪れた。さっきまでの雰囲気が本当にいつも通りの和やかなものだっただけに、急にやってきた微妙なムードに息が苦しかった。無意味にスーパー袋をがさがさと音立てた。

「あの、ごめんな。変なこと聞いて」
「え?ううん。何が・・・」
「なんとなく、気になっちゃって、幼馴染って」

会長の声が少しかすれている。いつもより低いその声に、教室では聞けないその声に、さらに緊張してしまう。

「勝手に、気にしてるだけなんだけどさ」
「うん」

私自身、何がうんなんだかわからないまま返事をしていた。そのまままた沈黙が流れて、すぐ横を通った家族連れの会話を全部聞いてしまった。明日の夕飯はハンバーグらしい。

「久保」
「はい」

分かれ道で立ち止まって最後に名前を呼ばれたときに、この日一番速く心臓が動いていたけど、会長はぽつりと言った。

「・・・また、学校で」

私はその言葉にひらひらと力なく手を振って、会長の後ろ姿を見送った。その背中もどこか元気がないように見える。家に帰ると、なんだかどっと疲れた気分だった。

私はどうすればいいんだろう。