あの子の好きな子




どうして最近ここにいないの?どうしてこっちを見てくれないの?聞きたいことはたくさんあったけど、以前のようになんでも先生に質問することができなかった。

「どうした?なにかわからないところ、あった?」
「え・・・」

そう言われて、授業のこと以外ではここに来てはいけないと言われた気がした。私は初めの頃はあくまで授業の質問をしにここに通って、先生との世間話はあくまでおまけだった。そのおまけ目当てだったのは確かだけど、私は言い訳として授業の質問も必ずしていた。それがいつの間にか、先生に会うことを目的としているのを隠さないようになったけど、先生は迎えてくれた。

「えっと・・・えーと・・・あの」
「ん?」
「ぜ、全部」
「え?」
「全体的に、わからなかったから、全部教えてください」

とっさに質問が思いつかなかった。それに、できるだけ長く先生とここにいたくて、またすぐに帰れと言われるのがいやで、私は全部と言った。

「全部って言われてもなあ。じゃあ今週の授業でやったところでいいかな」
「あ、はい・・・」
「教科書とかノート持ってる?」
「あ、今日、持ってない」
「・・・」
「・・・」

勉強を聞きに来たのではないことはバレバレだった。先生は、まあここにあるからと言って自分の本棚から教科書を出して開いた。私が勉強をしに来てはいないってわかっているはずなのに、先生はそれがわかっていないように授業の話にこだわった。