あの子の好きな子




「・・・そういや、最近地学準備室にいないな」
「え?」
「遥香も、篠田も」
「・・・雄也って、すごくよく見てるんだね」
「だからよく通りかかるんだよ」

雄也の言う通りだった。私の燃料切れの原因は、単なる先生不足。先生に会えないから元気がなくなって、自分の恋に自信がなくなってさらに足取りが重くなる。

「やっぱり、無理なのかなあ・・・」
「何なんだよ今さら。俺が無理だって言っても聞かないくせに」
「・・・そうだったけど・・・毎日行っても先生いないし・・・」
「単に忙しいんだろ。お前が暗くなってると気味悪いんだけど」
「・・・・・・そうだよね」

後ろ向きに考えていたら悪いようにしかならない。明日もあさっても会えないんだろうと思っていてはそれまでだ。今日は先生がいるかもしれない。毎日そう思っていよう。この片想いは、はじめから無理があるんだから。それを押し切って今まで突っ走ってきたんだから、今さら失うものも何もないはずだ。





「・・・あ、いた」

笑う門には福来る。プラス思考にはいい結果がついてまわるのは本当のことなんだろうか。自分に渇を入れなおしたその日、放課後の準備室には篠田先生がいた。

「あ、いたって、なに」
「なにって・・・、先生、ここのところあんまりいないから・・・」

久しぶりの会話は、思ったより自然にできた。それでも先生は、相変わらず私に目を合わせなかった。