好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

階段下から和希が鍵を開けているのが見えた。

その仕草が、なんとなくリアルでドキドキした。


いっときして、和希の声だけが私に届いた。

「あのさあ! 携帯が見つからないんだわ! ちょっと番号言うからかけてよ! 090-○○…」

私は慌てて鞄から携帯を取り出して電話をかけた。


「あれ! 聞こえねえな! ワリィ! 充電切れてっかも!」


ドア越しに、ドタバタと携帯を探す物音が聞こえて、何だか可愛くて笑えた。