好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

「ごめんって。ダチの骨折が治ったら、牛が原因不明の病気になったり、大変でさ」

「牛なんかより、私のほうがだ、い、じ、でしょ!」

「でもさ」

「今度は何ぃ……」

「一年頑張ったからって、農場の牛を少し分けてもらえることになってさ」

「えっ、それって、和希も経営者になるってこと?」

「今はまだ、半人前だけどさ、いつかは自分の農場を持ちたいと思ってる、だからさ」

「ん?」

「待ってくれないか?」

「……えっ…」

「ちゃんと生活の基盤が出来たら、お前の父ちゃんに今度はちゃんと挨拶しに行く」

「それって…」