好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

「…そんなこと言ったって」

「それにさ、勢いってのも大事かなと思って。俺、故郷を離れたことがなくて……ゆきや、じーさん、ばーさんたちの思い出にしがみついて生きてきたから」

「……電話くらいくれてもいいじゃない?」

「ここさ、朝すっごく早くて、夜もうんと遅いからさ、電話するタイミングができなくて」

「1年間も電話できないはずないじゃないっ!!」

ホントに、ジコチューで、

私の気持ちを一ミリも考えてくれなくて

なんでこの人が好きなんだろ。

自分でも呆れるくらい、この人じゃなきゃ駄目なんだろ。