好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

「どうして、こんな、いきなり、もうっ!」

「あー…説明するから、まあ落ち着け」

「………うん」

「愛崎の父ちゃんにハッキリ言われて、気づいたっていうか…俺、このままじゃ駄目だって。色んなことに逃げてばかりじゃ駄目だって」

「うん」

「でさ、ずいぶん前、小学校のころのダチがさ、農場を経営してるんだけど手伝わないかって誘ってくれてて。それ思い出して電話したら、ダチが足を骨折してて人手が欲しいから、すぐにでも来てくれって言われてさ」

「で、すぐに引っ越したわけ?」

「なんかさ、運命みたいなのを感じたっていうかさ」

「一言いってくれれば良かったじゃん」

「愛崎に会っちゃったら、決心が鈍りそうだなって思っちゃってさ」