好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕


「ゆき…さん…」


「!!!」


やっと彼女の名前を口に出したとき、和希の顔色が急に変わった。


「ゆきのこと、誰から聞いた!?」


いつも冷静な和希が、声を荒げて私の肩を掴んだ。


「淳の……お兄さん…光さん………」


「光」の名前を聞いたとき、和希は聞こえないくらいの小さなため息をついた。


ため息?


いや、落ち着くための深呼吸……