好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

「あ? ああ。俺には似合わないだろ?」

きっと私も釣られて笑うとでも思ったかもしれないが、

「どうした?」


本当のことを言うと

光の話をどこか信じられてなくて。

私を苦しめるための嘘なんじゃないかって。


でもそのピアノを見た瞬間

まるで絵のように綺麗にカバーがかけられてあって

自分が弾くためじゃなく

誰かのために置いている――


全てが現実なんだ。