好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

あまりの衝撃で、横の靴棚にまで体が吹き飛んだ。

電気が走ったようにビリビリする頬をさすりながら顔を上げると

ビンタして振りかぶった後のパパが、じっと私を睨んでいた。



私は、自分でも驚くほど、パパのことを忘れてしまっていた。



「帰りが遅かったじゃないか」

うずくまる私に顔色ひとつ変えずに、パパが静かに言い放った。