好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

「雪、って言葉を入れてほしい」


和希の声が何度も頭の中で響く。



ゆき…



「次は○○町前~」


アナウンスに我に返って、慌ててカバンから財布を取り出した。

動揺で指先が震えてしまって、残り十円がなかなか掴めなかった。