好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

一人がけの椅子に腰掛けて

やっと開放された気がして

急に色んな感情が溢れ出して、不意に涙が一粒こぼれた。


人のまばらな車内だったが、人前で泣くなんて私自身が一番驚いて

あとの涙は理性で、目の奥に引っ込ませた。


愛する人が目の前で死んでしまうなんて。

愛する人が、生活を共にしていたイトコだったなんて。


和希の中にまだ「ゆき」はいるのだろうか。