好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

やっと心待ちにしたバスがやってきて

私はさよならも言わずに急ぎ足でバスに乗った。


盲目の光は私がどこの席に座ったかも分からず

全く違うほうに小さく手を振っていた。


むしろ健常者の私が、光を家に送るべきだったんじゃないかと後になって気づいたが

そんなことも知らないバスは、ゆっくりと光から離れていった。