好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

「彼女は留学すると決めていたんだ」

俺は悔しかった。

ただ悔しかった。


「嘘だっっっ!!」


和希は怒りと絶望に髪の毛をかきむしった。


「君とはサヨナラしたかったんだ」

俺も彼女の死でおかしくなってしまったのか。

いや、これが本当の俺か。


彼女の才能に一番嫉妬していたのは俺だったのかもしれない。

そして、そんな彼女の愛したこの男も、俺にとっては邪魔な存在だったのかもしれない。