好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

「私はただピアノが弾きたいだけなのに」

肩が震えていた。きっと泣いていたと思う。

「せっかくの才能なんだから…頑張ってみたらどうかな?」

俺はまるで道徳の教科書に載っているような

くだらないセリフを口にした。


「私は…才能もお金もいらないのに」


母に捨てられて惨めな生活を送っているはずなのに。

周りは金持ちばかりの教室に入れられて

傷ついたこともあるだろうに。