好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

彼女の楽譜がびりびりに破かれたり

彼女の椅子に画鋲がしこまれたり

イジメが段々とエスカレートし始めた。


その頃から、教室まで彼女を送り迎えする男の姿をよく見るようになった。


「ゆき姉ちゃんのかれしぃ?」

無邪気な美紀のからかいに、彼女は笑ってはぐらかした。


その男は、俺の周りにはいないタイプの、

無口だが、柔らかくて、そしてやはり彼女のように影のある奴だった。