好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

彼女の両親は離婚していた。

母が引き取ったが、母方の祖父母の家に預けられた。

それから母には会っていないという。


「彼のお母さん、私の母の姉なんだけど、その人も離婚してから行方不明なの」


彼女は少し頬を赤くしながら言った。

「彼ね、私と似ているの」


すぐに俺は

あの男が好きなんだな。

と思った。


けれど、「いとこ」という言葉をきいて

まだどこか、安心していたところもあった。