「でもさ、知っていないから、好きになれるってこともあると思うんだよね」



光さんはとても優しい顔をしながら

平然と毒を吐いた。


確かに私は和希のことを何も知らない。


「…そうかもしれないです」

「?」

けれど――

「だから、もっと知りたい。知って、もし、嫌いになれれば、楽になれるのに」

私の涙が、ぽたりとテーブルクロスに吸い込まれた。