好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

「かずき…」


「うそだっ!!」


私のすぐ後ろで聞き覚えのある声が響いた。


「淳……」


それまで暖かく優しい風が吹いていたコスモス畑に

秋の斬るような鋭い風が、私の頬をかすめた。


「いつからそこに…?」


美紀が淳のそばに行こうとして、別の視線に気が付いて足を止めた。

その視線のほうに、私もゆっくりと顔を向けた。