好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕


「もう帰りたい…」

つい私は本音を漏らした。

「…淳とはもう………駄目なの?」

今日一日、私と淳のやり取りを見ていた美紀は、私の中に既に淳がいないことを察していた。

「ゴメンね」

「どうして私に謝るの」

「せっかく、淳を紹介してくれたのに」

本当は、色んな意味のこもった「ゴメンね」だった。

「…ホントのこと言うと、姫と淳には続いてほしいけど…二人とも大切な人だから」

美紀は少し言葉を詰まらせながら、悲しそうに応えた。