好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕



「この景色を、光さんはもう、見られないんだよね」


美紀がぽつりと言った。


私は聞こえないふりをした。


「あとで淳とここに来れば? 今度は私が光さんとベンチで待ってるから」

「えっ……」

「だって、好きな人とこの景色を一緒に見たいと思わない?」

「………」

この景色を一緒に見たい人と言ったら……

私にはあの人しかいないのに。