好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

美紀がいち早くベンチを見つけて光を座らせた。

「僕は兄さんとベンチで休んでいるから、美紀は聖里奈さんともっと奥まで見に行ってこいよ」

「うん、ありがと。ねえ、姫、一緒にいこ!」

「わかったわ」

美紀と行動できることに、私はかなりほっとした。


コスモスがトンネルのように囲む小さな歩道を

私と美紀はゆっくり進んだ。

「市民公園のコスモス、初めて見たわ」

「うっそ! デートスポットでしょ? 姫はいつもどこにデートするのよ」

「…デートなんてしたことないから」