好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

その後も、美紀と光は

まるでずっと寄り添っている老夫婦みたいに

仲良く手を取って、電車に乗っていた。


私と淳は離れているわけではないけれど

どこかよそよそしく、ただ並んで座っていた。


「市民公園なんて…何年ぶりかな」

「俺も小さいときに兄さんとキャッチボールをした以来かな」

その頃は目が見えていた…

と言いたいような。


私は妙に気まずくなってそれ以上何も言えなくなった。

別に私が悪いわけではないのに。