好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

「淳の兄の、光(ひかる)です」

私は始めて盲目の人を目の当たりにした。


本当は、私から近づいて名乗らないといけないのに

足が地面にくっついているみたいに、動かなかった。


「紹介するね。私の彼氏の光さん」

見せたことのない可愛らしい照れた表情を美紀はしてみせた。

光は、淳より優しい顔立ちで、だけどやっぱり兄弟揃ってイケメンだ。


「あのね、市民公園のコスモスが今すっごいらしいんだよ! 行ってみない?」

市民公園は電車で一駅で、駅から歩いてすぐの場所にある大きな公園だ。