母が倒れて

うつらうつらとし始めた時に電話が鳴った


『今病院着いた。今ＣＴ撮って帰ってきた。母さんにちょっと会ったけど何言ってるかわからなかった。顔も半分(皮膚が)下がってた。脳出血だって。血圧が高過ぎるから下げる薬と出血止める薬で今日は様子見て明日出血が広がってたら手術するって。血圧２００あったってさ２センチ位出血してるって。今日が峠だって言ってた。出血が広がらなくても喋れないかもって。』


聞いた瞬間意識がある事にホッとしたけれど脳出血で間違いないと確信して最悪なケースしか思い浮かばなかった
元気だった時の母の姿を思い出し、数日前に電話で私の心配をしていた事を考えて喋れなくなるという現実が受け止められなかった

『そ、それで先生なんだって？大丈夫なの！？もうお母さん喋れないの…！？』
仕事で何人もそういう患者さんに会ってきてわかっているのに当たり前の事が受け入れられずに聞いてしまい涙が出て声が震えて何を聞きたいのかもわからなかった


『お前がそんなに動揺して泣くと思わなかった。俺まで泣いたじゃねぇか。入院の準備は出来てるから何かあったらすぐ連絡するしとりあえず今日はゆっくり休みな』



弟の冷静さと頼りになる姿に少し感動して自分もしっかりしないとと思えた



その夜はなかなか寝付けないで寝たのかどうかもわからず早く朝になってくれと考えながら布団に横になっていた