「皆…卒業おめでとう。いい卒業式だった、今日は泣かないって決めたから必死に涙を堪えて、必死に皆の姿を目に焼き付けてて一つすっげーぐぐっと来て、本当に泣きそうになった瞬間があったんだよ」
「なに、杏利ちゃんが泣いてた時?」
「お前、本当面白いなぁ〜」
「えっ?」
「お前が在校生が送別の歌を歌ってくれてるときに一緒に口ずさんでただろ?あれにぐぐっときてほんっとに視界が滲んだんだよ」
「えっ、俺やべぇ〜」
教室中からいつものように笑いが起こる。
「本当、いい卒業式だった。
先生になって最初の卒業生の卒業式とか泣き過ぎて何があったか本気で覚えてねぇから本当に今日はいい卒業式をしっかりとこの目に焼き付けられてよかった。
これから皆は一人一人違う進路に進むけど、この3年間に負けねぇくらい楽しい日々を過ごして欲しい。
そして、皆が20歳になったら一緒に酒を飲んで、いつか皆が結婚する時には結婚式に先生を呼んで下さい。先生も皆のこと招待するからさ」
「先生の結婚式いつ〜」
「多分7月くらい。新学期始まって、落ち着いてから」
「よし、分かった」
「「「「……えっ⁉︎」」」」
「実は今朝入籍しまして、結婚しました」
「「「「はぁぁぁーっ⁉︎」」」」」
予想以上のリアクション。

