「暇じゃない?」
「うん」
弥紗ちゃんは本当にウンザリしている
表情だった。
よほど暇で暇でつまらないのだろう。
「外の撮影の時って
いつもこんな感じなの?」
「今までこんな大勢で撮影したことは
ないよ。最高でも5人ぐらいだよ。
何で今日はみんなで撮影するのかな~!?」
弥紗ちゃんはイチャモンをつける。
でもその気持ち分からなくもない。
いつもはこんな大勢で撮影しないかあ。
ということは今日の撮影は
ちょっとレアなのかな?
とひそかに思う。
「…」
「…」
お互い沈黙してしまった。
今聞こえるのは
撮影現場にいるスタッフさんの声と
カメラのフラッシュ音だけ。
中はシーンとしている。
まるで別世界にいるようだ。


