「頭がボーっとしちゃって
メイクに集中できなくて…」
本当はメイクの仕方が分からない
だけなんだけど、そんなこと言ったら
バレてしまう。
「大丈夫ですか!?
なら代わりに私がやりますよ!
不器用かもしれないですけど…」
大歓迎!不器用でも構いません。
モデルたちの「不器用」は
「器用」と同じ意味ですから。
「じゃあ、やりますね」
弥紗ちゃんは自分のメイクボックスから
櫛を取り出した。そして
私の髪をゆっくりとかす。
「美希さんの髪
凄いサラサラですね!」
私の髪がサラサラなのは
良いシャンプーを使っているから。
しかも姉も同じのを使っている。
私は髪質だけ良いのだ。
「私 夢だったんです。
美希さんのメイクをするのが。
美希さんいつも何でも自分でするから
全然チャンスがなくて…。
こういう機会が出来て嬉しいです!」
本当に姉は何でも自分でする人みたいだ。
周りに迷惑を掛けたくないから。
でも無理はしない方がいいと思う。
周りの助けを貰った方が楽になると思う。
しかしそんなことは姉に言ったことがない。
何故だかは分からない。
姉の邪魔はさせたくないからなのかな。


