その妖、危険につき

それは、にたりと笑った。自分の長い爪を見下ろし、そこについた赤い液体――私の血をじっと見つめた。

そして、それを舐めた。


何と表現したらいいのだろう。恍惚とした顔の後、それの雰囲気が変わった。異様さに拍車がかかったというか、力がみなぎったような、そんなかんじだ。

私はますます足がすくんで、目を背けることもできずにいた。



それが一歩近づいてくる。逃げたいのに体が動かない。声も出せない。

ゆっくりと近寄ってくるそれに、来ないでと願いながらどうしようもできない。それが間近に迫ったとき、私は思わず目を閉じた。


――助けて、廉!