その妖、危険につき


「これやるから、泣くな」

廉の声が少し困って聞こえたのは、きっと気のせいだ。ただちょっと迷惑だって思ったにきまってる。


「何これ?」

廉が私の首にかけたのは、廉には似つかわしくないような勾玉だった。


「魔除けにはなるはずだ」

「廉が持ってたものなのに?」

「俺が持ってたものだから。半端な奴は近づいてこないだろ、たぶん」

「たぶん、て?」

「逆に俺の力に寄ってくるのがいるかもしれない。ま、そういうやつはあまり馬鹿じゃないから、いきなり襲ってきたりはしないだろ」

「それってあまり手放しで安心できないんだけど」