その妖、危険につき

私にはもう、一つしか選択肢は残されていなかった。


「わ、かりました。立てますか?」

私は彼に手を貸して、立ち上がらせた。彼はよろついたりするものの、思ったよりずっとしっかりしていた。彼の体温が、熱いのがわかった。



肩を貸してマンションの中に入り、エレベーターに乗って、自分の部屋に入った。リビングのソファに座らせて、救急箱とタオルをもってきた。

彼のTシャツをめくって傷口を見てみたものの、何をどうしたらいいのかわからなかった。手当するなんて言ったが、明らかに手に負えない。