「よいしょっ」 塀をよじ登った向こうの景色の中には 大きな大きな桜と、あなたがいました。 あなたは 満開に咲いた桜を見上げて 雫のような涙を流していました。 その景色が あまりに綺麗すぎて 私は動くことが出来なくなった。 ---‥一瞬で 見る者全てを引き付けるような、 桜のような、あなただった。 冷たさを感じるくらい 透き通った白い肌に 焦げ茶色の瞳‥‥ そして整った顔‥‥ 私は瞬時にとらわれた。 .