新撰組(仮)

つい見とれていると、いつの間にか齋藤は仕事を終わらせていた。


しかし、千春はそれに気づかず尚も見とれるばかり。


視線に気づきながらもじっと我慢していた齋藤だが、我慢の限界で、千春の方に向き直った。


目があい、ドキリとする。



「なにか、俺の顔についてるか?」


「へ?

 いえ、なんでもありません・・・!!」



見とれていたことがばれた。

恥ずかしい・・・!!



かあっと顔を真っ赤にさせ、焦ったあまり味噌汁の入ったお椀をぶちまかしてしまった。



「あっつ・・・!!」


味噌汁が指にかかってしまい、どうしようかとあたふたしていると横から腕が出てきて、千春の腕をつかんだ。



「っ」


「・・・腫れてきたな。」



齋藤さんはぐいっと腕を引っ張るとそのまま外に出て、井戸の水を汲んでくれた。


持っていた手巾を水で濡らし、そっと指に当ててくれる。


私は恥ずかしさと痛さでうつむいてしまった。



お礼を言わなきゃ・・・



口を開くとお礼を述べるよりも前に指がひやっとした。


それは手巾の冷たさとはまた別のもので不思議に思って顔を上げると、やけどした指に触れていたのは手巾ではなく齋藤さんの指だった。


「大丈夫か?」


齋藤さんが顔を上げた私の目をしっかりと見ながら心配してくれた。