新撰組(仮)

ふつふつとわきあがる味噌汁をお椀によそいながらも二人の間に訪れるのは静寂。


いくら日ごろから無口の齋藤といえど、千春は今日屯所に来たばかり。


千春はこの場の居心地の悪さを感じていた。




な、なにか話したほうが良いかしら・・・?

でも、何を話せば・・・



そう思いながらもテキパキと仕事をこなしてゆく。




ここの人たちはみんな成り上がりの人たち・・・

元から武士の人たちではないのよね・・・



千春はいつもは屋敷の中にこもってばかりなので男の人との免疫がなく、男の人が苦手だった。


それなのにここに来たのは理由がある。


奏楽様をお迎えに上がるのも理由の一つだが、ここは男所帯。


奏楽さまは男として通っているが女ということがばれてしまってはいけない。


なんせあの容姿だ。


世の殿方たちが放っておくわけがない。



もし、もし、奏楽様が危険な目に合いそうなときは、この私が身を挺してでもお守りしなければ・・・!!



そう熱い誓いを胸に刻みながら千春は仕事を行った。


机の上に味噌汁を置いたら、お盆を持ち帰り、齋藤のところまで戻る。


せっせと不器用ながらも一生懸命きれいに盛り付けようとする齋藤の姿が目に入る。


横に並び、齋藤が盛り付けたお椀をお盆に乗せる。


齋藤が盛り付け終わるまで待っていると、無意識のうちに齋藤の横顔を見つめてしまった。





きれいな横顔・・・