新撰組(仮)

まったく失礼な奴らだ。

そこまで、ひどいことはやっていないというのに。


宮部は味噌汁を口に含むとピタリと動きを止めた。


「宮部?」


うそ、本当にまずかった!?

ついに私の味覚までおかしくなってしまったかと不安に陥ったが予想は外れた。


宮部は茫然と小皿から口を離す。


「宮部ー!
 お、お前の勇士を、俺たちは忘れないぞ!!」

「一生だ。
 俺たちはお前と過ごした日々を・・・」








「・・・うまい」







「え?」


後ろで泣きながら抱き合っていた隊士たちはみな驚き、ピタリと動きを止めた。


「だろ?
 
 ほら、だからちょうど良いと言ったでしょう、沖田さん」


「・・・」


言い返す言葉もなく沖田さんは黙った。


今から沖田さんの味覚を変えるのは難しいかもしれないが、少しずつ治していく必要があるな。


私は宮部をほっぽいて沖田さんを引きずり歩いた。


「では沖田さんは、おかゆ運ぶの手伝ってくださいね。」


沖田さんは渋々ではあるが最後まで働いてくれた。


・・・ふらふらした足取りを抜けば、もっと良かったのだが。