新撰組(仮)

お互いにぺこぺこ頭を下げる。



誰か、この局長を止めてくれ。

この人が止まらないと私も止まれない。



「……お前、鳳の跡継ぎか?」


その願いが伝わったのか、土方さんが切り出してくれた。



「鳳?
 鳳って…陰陽一家のあの?」



「鳳の名をご存じでしたか。」



大げさに驚いて見せる。

鳳とはおじいちゃんの姓だ。
私の偽名。

本当の名前は別にある。
しかしそれを今ここで名乗らなくてはいけないわけではない。


鳳とは、ちょっと有名な一族だ。


陰陽師として、江戸で、将軍様に仕え、江戸の町を悪鬼から守る。


それが、私の一族。



「私は跡継ぎではありません。
 女子では後を継ぐことはできないのです。」



「…しかし、先代は先日亡くなったと聞いた。
 そして、跡継ぎが決まっていないとも聞いたが…たとえ女子でも、一族の存亡が決まる大事な時期に江戸を離れていいのか?」


おうおう、深いところまで抉ってくるねえ。


何々、そんなに人様の跡継ぎ問題が気になるって?

どこの井戸端会議好きの奥方ですか、あなたは。