「ね、そうですよね、みなさん?」



山南さんの視線をたどってみると、後ろに幹部のみんながいた。


盗み見をしていたはずなのにみんな笑顔で、悪びれもなく話しかけてきた。



「奏楽、夕餉のつくり方教えてくれ!!」

「しんぱっつぁん、焦がしちゃったんだよ~」

「おい平助、それは言わないはずだろ!?」


原田さん、平助さん永倉さんは相変わらず・・・



「結構頑張ったつもりだったんだけどねえ、一君が・・・」


「なっ、俺が悪いみたいな言い方・・・

 あれは俺が悪いんじゃないぞ、塩分がだな・・・」


「まあまあ、一君。

 沖田君も頑張っていたし・・・」


沖田さんも齋藤さんも、源さんも・・・



「変なにおいがすると思ってみていたらすごいことになっててな~」


「わははって・・・
 わらってるばあいじゃねえぞ、近藤さん。

 あれはひどすぎる。」


「確かに、ここまでにおってきてますね」


近藤さん、土方さん、山南さん・・・



「はいはい、はいはい。


 じゃあ、俺が手伝います。


 さっさと終わらせますよ、かたずけも夕餉作りも。」



いつの間にか涙は止まってた。いつの間にか、笑顔になってた。


大丈夫。心配してくれてる人がここにはたくさんいる。


私はあの頃みたいに1人じゃない。


涙を流せる場所が、帰ってくる場所が、暖かい場所が今の私にはある。