新撰組(仮)

「こんなところにいると風邪をひかれますよ」



部屋に戻ったといっても今、私がいるのは部屋の前の縁側。


縁側に座って、考えていたところを山南さんに話しかけられた。



でも、山南さんの部屋って反対側だったはず。


ここに来るってことは近くの部屋に用があったのかも?



「あの、山南さん??


 何か、用があったんじゃ?」


私にかまっている時間はないのでは?という意味で問いかけたのだが、山南さんは無言で私の隣に腰かけた。




「なにか、悩み事でも?」



「え?」



辺りは暗く、もうそろそろ夕餉の時間だと思った。



夕餉の準備をしなきゃいけないのにどうしても、そこから動くことができなかった。



暗くなった空には満月が顔を出していた。



「ここ」



そういって満月を見ていた視線を私に向けると山南さんは右手の人差し指を私の眉間に向けてトンッと軽く叩いた。



「皺が寄っています。


 悩み事なら、私に話してみてはどうでしょう。


 少しは気分転換になるかもしれません」



それにきれいな顔が台無しですよ、と続くあたり本気で心配しているのか冗談の色が見え隠れしている。