新撰組(仮)

涙を流す奏楽を久佐波はただ、じっと見ていた。


しかし、やがて口を開いた



「心中お察しいたします、奏楽様。


 しかし-----」


そう言われて、奏楽は顔を上げた



「あなたに、何がわかるっていうんですか!?


 両親がいなくて、一人だった私には祖父しかいないと思ってた。


 両親の記憶さえもなかった私には祖父しか身内がいなかった。



 そして、1人になってしまうのかと思った時に知った叔父の存在。


 どれだけ、私が悲しかったか、あなた方にはわかるんですか!?」


両親の愛という物を知らなかった私に、親身になってくれたのは祖父だ。



祖母を早くに亡くした祖父にも私しかいなかった。



だから、本当に大切な人だった。



祖父が倒れ、苦しい時も、私しか頼る人がいなくてきつくて・・・



もし、両親がいたら、祖母がいたらって何度思ったことか。


誰でもいい。幽霊でも何でもいいから、助けてほしかった。


1人になりたくなかった。


不安で不安でいっぱいだった。


すごく、怖かった。悲しかった。


ああ、もう、1人になっちゃうんだって。


でも、祖父から初めて叔父の存在を聞いて、嬉しかった。


それと同時に、悲しかった。