新撰組(仮)

その瞳には、不安の色が見え隠れしていて、奏楽は一気に不安になった。



奏楽は千春を部屋に案内すると部屋の中に入った。



「それで、話って?
 あ、天井裏に隠れている人も降りてきたほうが良いなら構いませんよ?」



そのことばに千春は驚いて、目を見開いた。



「何もしませんから」



そこまで言うとさすがに降りてきた。




降りてきたのは初老のおじさん。



いかにも忍びっぽい。



「・・・いつから気づいておられましたか?」



その問いに笑顔で答えた。



「局長室に入ってからです」



「随分と、ご立派に成長なされたようでこの久佐波、大変嬉しゅうございます・・・」



なぜか知らないが、久佐波は涙目だ。



今、『随分と成長した』って言った?



この人、私の過去を知っている?


でも、私はこの人のことを知らない。



奏楽は一瞬身構えた。