新撰組（仮）

「これから、千春ちゃんは我々と一緒にここで暮らすことになる。


　くれぐれも、粗相のないように!!」



局長室に呼び出された私たち、幹部一同は近藤さんからそう伝えられた。



なんでも、千春ちゃんはこれからしばらくの間、女中としてここで一緒に生活していくのだという。



私はその時、とても嬉しかった。


なんで、女中になるのか、理由とかをききたかったけど、近藤さんの口から聞かされないってことは聞かないほうが良いってことだから、聞かないでおこうと思った。



「じゃあ、奏楽くん。

　千春ちゃんに、部屋を案内してあげて」


「分かりました」


それは、近藤さんが私に与えてくれた貴重な機会だと思って、私は案内がてら千春ちゃんと仲良くなろうと話しかけた。


けれど、私が話しかけるよりも前に千春ちゃんが話しかけてきた。



「あの、奏楽さん。」


「何?」



呼びかけたはいいが、千春ちゃんは何も話そうとしない。


というか、話すのを躊躇っているような気がした。



「どうかした?」



不思議に思って、奏楽は千春に向き直った。



千春は顔を上げ、口を開いた。



「あの、お話したいことがあります。


　少々、お時間をいただけないでしょうか?」