新撰組(仮)

しかし土方はそんなのお構いなしに話を進めた。


「山崎によると、あいつの叔父は
 『蔵本恭治』」


その一言に、さっきまで混乱状態だった近藤も息をのんだ。


『蔵本 恭治』


奏楽の叔父であり、由緒正しき公家の現当主。


公家------

朝廷に仕えし一族。


まだ、公家のお姫様なら良かった。

だが、


「蔵本、きょう、じ?

 まさか、あの?」



蔵本家は公家の中でも天皇に近いくらいを授かり


公家の中では頂点に立つ。



そんな「特例」を授かった蔵本家はこの国にすむすべての民が知っている。



なぜ、そんな特例が存在しているのか一庶民の近藤たちには知るよしもなかったが


確かに、蔵本家はただものではない事だけは確かだ。


公家の中でも最も天皇に近いくらいを授けられるなんてことは今までになかったと聞いている。




しかし、なぜか、数十年前にいきなり、公家の頂点に立つことを許された。



蔵本家は公家の中でも謎の一族なのである。